昨年から計画していた南インド、タミルナード州Dindugulに仮居住しているラジャスタン流民(約200名/内50名以上は14歳以下の子供達)の児童たちを対象とした「青空教室」を2013/1/17からスタートしました。
ここに仮住する子供達は今まで学校に通った事も、きちんと勉強を教わった事も無かった為、はじめは読み書きの基礎となる「英語&ヒンドウーのアルファベット」及び「数字の英語読み」をみんな一緒に大きな声で発声することから始めました。この授業は、デリー出身のヒンデイー語が出来る大学生ボランテイア8名の協力により、週3回PM5:30 ~6:30行っております。
このプロジェクトは地元Dindugulを拠点に活動を展開している団体Stanley Arms of Love Trust(NGO)の協力により実現できました。
現在ここに仮住しているラジャスタン流民の人々は何十年も前から代々に渡り受け継がれてきた家業として、現在の集団移動型「行商」を続けているとの事です。しかし彼ら自身、現状に満足しているわけではありません。むしろ出来る事ならば不安定且つ不定期に移動を繰り返さなければいけない「流民生活」ではなく、子供をちゃんと学校に行かせられるように一ヶ所に定住して生活出来るようになりたいと願っております。しかしそのためには、そうした基盤を築くための資金とその生活を維持してゆく為の安定した職を手に入れる事が第一の条件になります。しかし、子供達の保護者である親達もまた、ちゃんとした教育を受けた事がないため、大半の者は「読み書き」が出来ず、計算も「簡単なお金の勘定」位しか出来ません。
現在インド国内では、このような「流民」として暮らす人々が至る地域に点在しています。しかし、こうした者達は、その地域の政治に関与する為に必要な「IDカード=住民登録」が無い為、彼らは州(国)政府に対してサポートを要請する事すら出来ません。また、仮に出来たとしてもインドの行政は日本以上に怠慢且つ盆雑な書類手続きが必要となってくる為「読み書き」どころか自分の名前(サイン)すら出来ない彼らが「政府へ支援を要請する」というのは事実上不可能な状況です。
本来は彼らの様な境遇の人々に対してこそNGO(NPO)というものは機能していかなければならないと思います。そうであるにも拘らず現在インド国内のNGO及び世界中から集まっているNPO(NGO)団体は、彼らに対して一切支援を行ってきませんでした。その理由は簡単です。彼らは4~6ヶ月程度で「行商」として別の地域に移動してしまう為、従来までのNGOが得意として行ってきた「箱モノ支援」では対応出来ないというのが一番の理由です。また、それ以外に政治的側面から見ると「選挙権の無い者」を積極的に支援しても票数確保には繋がらない為、未だ彼ら「流民」に対する支援制度はありません。
実は我々も「移動してしまう対象者に対する支援の難しさ」という問題に対しては頭を抱えています。しかし、だからと言って「何もしない=見てみぬフリ」をしてしまっては本末転倒です。そこで、まずは彼らの懐に飛び込み「子供達の青空教室」を通して彼らとの繋がりを深めてゆく事で、そこから「改善策」を見つける事が出来ればといった希望を持ちつつ、まずは1ヶ月限定で、この「青空教室プロジェクト」をスタートしました。
いつも「仏教子ども救援基金」の活動をご支援いただき本当にありがとうございます。今後ともご支援、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
仏教子ども救援基金
ボランティア
齋藤 泰治