仏教子ども救援基金は、国内外の子ども達を劣悪な環境から守る団体です。当団体はアジア全域で児童労働・児童売春の問題に取り組み、雇用主や親族の監視下での、過酷な労働や、性犯罪の被害を受けるリスクのある子どもに、援助の手を差し伸べます。
その手法としては、まずスラム・農村など貧困地域、児童労働の行われやすい大規模農場や工業地域、ストリートチルドレンが多い繁華街で、調査員による聞き込み調査を行います。そこで小学生程度の子どもを含む極貧家庭を見つけ次第、子どもが成長する迄の定期の見守りと、子どもを過酷な環境に追い込ませる、その家の経済状況・家庭環境を、改善する支援活動を状況に応じて展開します。
そして聞き込み調査の段階で、もしも暴力や厳しい監視にさらされる子ども達が、児童売春や強制労働を強いられる現場を発見した場合は、可能ならば他団体との連携を探りつつ、警察への摘発協力、児童の緊急保護を行います。
現在スタッフを派遣してプロジェクトを展開しているのは、南インドとカンボジアですので、以下それぞれの進捗状況をお知らせ致します。
南インドの現在の進捗状況
2012年5月に、南インド・タミルナードゥ州ティンドゥッカル県ティンドゥッカル市に「タミルナードゥ州事務所」を開設し、現在は現地人スタッフ2名と日本人駐在員の合わせて3名がプロジェクトを展開しています。
この州に対象児童がいるかどうかをチェックするため、2012年4月までの一年間に同州農村部のナッタム市で調査を行ったところ、特に貧しい家庭の多くは、日雇い労働の母子家庭か父子家庭だったことが分かりました。特に母子家庭の場合には勤務できる日数も限られ、インド農村部の平均収入の一割ほどしか得られません。しかし定住地のある低所得者は生活保護の対象としてお米の配給があるので、農村部の子ども達は休みごとに働きながら学校に通っている状況が見え、現地の教育関係者数名からも学校に通えないほどの極貧家庭はないとの情報が得られたので、私たちは農村部には緊急性の高い子どもは少ないものと見なし、都市部のストリートチルドレンに調査対象を切り替えました。
そこで事務所のあるティンドゥッカル市を調査したところ、学校も通えず路上で物乞いをしている女の子の家族を3組発見しました。この子たちの両親はともに健在ながら、公有地にテントを張って無許可で暮らしているので生活保護が得られません。女の子は性差別や性犯罪の被害に遭うリスクが高いので、男の子に優先して支援対象者候補に選ぶこととし、虚偽申告の有無や家庭環境の調査をした上で、彼女たちを今後正式な対象者として支援いたします。
今後はタミルナードゥ州全域も同様の状況と予測し、ティンドゥッカル市から徐々に離れた都市部と、同時に強制労働が懸念される大規模農場や工業地域を調査いたします。2012年8月から里親支援者(サポーター)の募集を開始いたしましたので、ご賛同を頂ける方はお知らせ下さい。里親支援者の方には個別に支援対象者の情報をお知らせ致します。
カンボジアの現在の進捗状況
2012年7月に首都プノンペン市内の主要なスラム5ヶ所を調査しましたが、どのスラムでも海外のボランティア団体が展開している支援プロジェクトによって、子どもが学校に行かずに働いている状況は劇的に改善されており、私たちが対象に考えている「労働のみに従事している小学生ほどの子ども」は発見できませんでした。ただしスラムの子ども達は学校が休みのたびに、それなりの収益になるごみ拾いの仕事で家計を支えています。
スラム全体が賃貸の団地のようになっている現状では、スラムにも入居できない家族は路上生活を強いられているのではないかと考え、駐在員は、昼間は家族ともども物乞いやごみ拾いに従事している子ども、夜は売春地帯や繁華街にたむろする女の子がいないかと、路地や裏通りを調査に奔走した結果、現時点で2組の家族と、親族の監視下で一日中の労働を強いられている女の子一人を発見しました。
これでプノンペンでの更なる調査対象者探しの目途が立てられるようになり、プロジェクト始動の決定を受けて、2012年8月に、日本人駐在員1名と現地人2名を臨時雇用する「プノンペン事務所」を開設しました。
2012年8月から里親支援者(サポーター)の募集を開始いたしましたので、ご賛同を頂ける方はお知らせ下さい。里親支援者の方には個別に支援対象者の情報をお知らせ致します。